極悪プリンスの恋愛事情
お似合いって……なに。
私が凛くんを好きなことわかってるくせに、なんでそんなこと言うの。
涙なんて出なかった。
悔しくて、情けなくて、抗う気力さえ奪われる。
何か言わなきゃ……誤解されたままなんて嫌だよ。
「凛!お前いい加減にしろよ!」
真っ先に口を開いたのは、私でも凛くんでもなく─────岸本くんだった。
「今の告白が本気じゃないことくらいわかってんだろ!」
凛くんの胸ぐらに掴み掛かり鋭く目を光らせている。
岸本くんが怒鳴ってるとこ………初めて見た。
「花野井ちゃんのこと誰にも取られたくないくせに、めちゃくちゃ好きなくせに、なんでそうやって逃げんだよ!」
「………うるせーよ、離せ」
激しく感情をぶつける岸本くんとは対照的に、凛くんは表情ひとつ変えなかった。