極悪プリンスの恋愛事情
「凛くん!!」
走った勢いのまま放送室の扉を開けた。
「は、花野井!?」
凛くんは驚いた顔でこちらを見ていたけれど、構わずマイクを奪い取った。
酸欠で苦しい。
でも……乱れたままで、このままでいいや。
私だって凛くんの気持ちに応えたいんだよ。
「全校生徒の皆さん!私、花野井静香は相崎凛くんが大好きです!」
キーンと不快な音が紛れてマイクがハウリングした。
「文句がある人は私がいつでも相手にします!だけど、私は一生、凛くんが好きです!この気持ちだけは絶対に変わりません!」
ほんの少し前まで凛くんに話しかけることすらできなかったのに、いつからこんなに強くなれていたんだろう。
苦しいことも辛いこともたくさんあったけど、遠くから見ているだけだったあの頃より…………今がずっと幸せだった。