極悪プリンスの恋愛事情
ファンの子たちはこちらを睨んでいたけど、構ってたらキリがないから気にしないことにした。
交換したカーディガンもお揃いのマフラーも戻ってきてるし、今はこの幸せだけを感じていたい。
「いつも朝遅いのに今日は早いんだね?岸本くんも一緒にいないみたいだし」
「あー………早く花野井に会いたかったからかな」
「えっ!?」
凛くんは私の心臓を何回ときめかせたら気が済むんだろう。
照れくさそうに言う姿が胸キュンポイントを的確に突いてくるから更に罪深い。
「私も!会いたかったよ!」
熱い想いに応えねばと凛くんに詰め寄った。
一瞬驚いた顔をされたけど「声でかすぎ」と、楽しそうにしていたから私もつられて笑った。
あぁ、幸せすぎてどうにかなりそう………。
「朝からお熱いね、おふたりさん」
声が聞こえて振り返ったら、岸本くんがくすくすと笑いながらこちらに歩いて来ていた。