極悪プリンスの恋愛事情
不器用な優しさ
騒がしい廊下の中心で、今日も彼はダルそうに歩いている。
取り巻きの女の子にはもちろん見向きもしない。
たまに喋ったかと思えば「うるせー」だの「消えろ」だの、冷たい言葉ばかり。
だけどね、私には……そんなきつい言動でさえも愛おしく思えちゃう。
「凛くん、おはよう!!」
キャーキャーうるさい声に負けじと、朝っぱらから叫んでやった。
朝の挨拶ってすっごく大事だと思うんだよね!
「…………」
けれど目の前に立つ凛くんは、私を見るなり深いため息を吐く。
もうっ!そんなあからさまに嫌そうな顔しないでよ………!