迷惑な運命
「「「「キャーーー❗❗❗❗❗❗❗❗❗❗❗❗」」」」
という、悲鳴のようなものが聞こえたのは、その直後のこと。
まわりにいた人が、みんな私たちを見てる。
その中には、柿谷さんもいた。
私は一気に恥ずかしさが込み上げてきて、
口を服の袖で拭きながら、教室を立ち去った。
まだ知らない校舎の中で、私は迷子になっていた。
ここどこー?
いつの間にか教室から離れてたみたい。
自分がどこにいるのかわからなくなっっちゃった。
「ねぇ、君!1年だよね?」
よく通りそうな高い女の人の声。
後ろには、私より少し背が高く、OLっぽい格好をした人がいた。
「大丈夫?ここ、3年フロアだよ。」
声の主は、この先生だった。
『小坂井』とかかれた名札を下げている先生は、
まだ若そうなのに、堂々としていて、きれいな方。
「実は、迷ってしまって……。」
私がそう言うと、先生はやっぱりね、と微笑みながら、案内してくれた。
教室に戻ると、柿谷さんに
「中谷と付き合ってるの?」
と言われた。びっくりした私の気持ちは、顔に出ていたようで
「違うのか。むしろ迷惑そうだね。」
と、苦笑された。
帰り、京香たちを昇降口で待っていると、どこからか
「あの子だよ。中谷 伊大《いと》くんとキスした子。」
と言う声が聞こえてきて、女の子たちに見られてた。
その直後、中谷君たちが昇降口から出てきた。
中谷君は、女の子たちにかこまれて、見えなくなってしまう。
手紙などを渡そうとしている子もいて、その子たちに中谷君は、
「人の悪口言う子は嫌いだから。」
と言った。
そして、そう言われた子はみんな、私の方をちらりと見るのだった。