お見合い結婚狂騒曲
部屋に戻り、ベッドにゴロンと横になる。
言われなくても、この週末は、楽しい見合いが待っている。
「二十九回目かぁ」
年齢と同じだと思うと、ちょっと切なくなる。
ん? ブルブルと音が聞こえ、視線をサイドテーブルに向ける。
母から電話だ。溜息が一つ溢れる。
「もしもし」
〈真央ちゃん、元気だった?〉
つい先日会ったばかりだろう、とツッコミそうになる。
「元気だよ。何?」
〈明後日、お見合いなんでしょう〉
公香だな、と心の中で舌打ちする。
母と公香はメル友だ。私の情報は逐一報告されている。個人情報もあったもんじゃない。
〈良い人に出会えると良いわね〉
だから五年前の事も知っている。
でも、知らない振りをしてくれている。親心故だからだろうか……。
母と実父は、私が小学校に上がった年に離婚した。両親共に仕事が大好きで、朝から晩までバリバリ働いていた。そんなすれ違いの時間が、お互いの心を離していったのは当然の結果だろう。
その後、私は母に引き取られ、母の実家で暮らしたが、私を育てたのは母ではなく祖父母だ。
言われなくても、この週末は、楽しい見合いが待っている。
「二十九回目かぁ」
年齢と同じだと思うと、ちょっと切なくなる。
ん? ブルブルと音が聞こえ、視線をサイドテーブルに向ける。
母から電話だ。溜息が一つ溢れる。
「もしもし」
〈真央ちゃん、元気だった?〉
つい先日会ったばかりだろう、とツッコミそうになる。
「元気だよ。何?」
〈明後日、お見合いなんでしょう〉
公香だな、と心の中で舌打ちする。
母と公香はメル友だ。私の情報は逐一報告されている。個人情報もあったもんじゃない。
〈良い人に出会えると良いわね〉
だから五年前の事も知っている。
でも、知らない振りをしてくれている。親心故だからだろうか……。
母と実父は、私が小学校に上がった年に離婚した。両親共に仕事が大好きで、朝から晩までバリバリ働いていた。そんなすれ違いの時間が、お互いの心を離していったのは当然の結果だろう。
その後、私は母に引き取られ、母の実家で暮らしたが、私を育てたのは母ではなく祖父母だ。