お見合い結婚狂騒曲
「赤尾のお爺ちゃまもお婆ちゃまも、喜んでたでしょう」
心から二人は喜んでいた。
「私と会うとね、いつも真央のことを宜しくって仰るの。老い先長くないからって。あんなに元気なのにね」
公香の顔がクシャッと歪む。涙を堪えているようだ。
「で、お父さんとお母さんからは? お祝いの言葉、あった?」
それを誤魔化すように勢い良く言う。
「あったよ……おめでとうって言ってくれた」
他人同士よりももっと希薄な親子関係だが、血の繋がりは切れない。だからこそ、新しい家族を持つ二人に遠慮してしまう。
「でも、結婚式には招待しない」
「そうなの」
公香はこういう時、反対だとも賛成だとも言わない。
「それが本当の気持ちだったら、そうすれば」
こういう出来た女だ。
「うん。本心」
ーーあの日……葛城圭介の父、圭二氏は何を思ってあの会場に来たのだろう。
追い出された彼は、そのまま療養施設に送り返されたらしい。
一瞬だったが、彼の瞳に慈愛の色が見えたような気がした。彼もまた、本当は葛城圭介にお祝いを言いたかったのでは……希望的観測に過ぎないが、そう思いたい私がいる。
心から二人は喜んでいた。
「私と会うとね、いつも真央のことを宜しくって仰るの。老い先長くないからって。あんなに元気なのにね」
公香の顔がクシャッと歪む。涙を堪えているようだ。
「で、お父さんとお母さんからは? お祝いの言葉、あった?」
それを誤魔化すように勢い良く言う。
「あったよ……おめでとうって言ってくれた」
他人同士よりももっと希薄な親子関係だが、血の繋がりは切れない。だからこそ、新しい家族を持つ二人に遠慮してしまう。
「でも、結婚式には招待しない」
「そうなの」
公香はこういう時、反対だとも賛成だとも言わない。
「それが本当の気持ちだったら、そうすれば」
こういう出来た女だ。
「うん。本心」
ーーあの日……葛城圭介の父、圭二氏は何を思ってあの会場に来たのだろう。
追い出された彼は、そのまま療養施設に送り返されたらしい。
一瞬だったが、彼の瞳に慈愛の色が見えたような気がした。彼もまた、本当は葛城圭介にお祝いを言いたかったのでは……希望的観測に過ぎないが、そう思いたい私がいる。