お見合い結婚狂騒曲
一週間後、現れた葛城圭介が言う。

「仕事を目一杯詰め込んで、休みを二週間ゲットした」

最近メールのみだったのはそういうことか、と思い知る。

「味食会長に許しを得て、君も明日から二週間、有給休暇を貰った」

ハイ? 何だそれ? 何たる強引!

「そうそう、事務室の人たちに、お土産を宜しくと言われた。忘れずに買って帰ろう」

エッ? イヤ、ちょっと待って、お土産って何?

「結婚式は海外で、二人だけで挙げる」

ハァ? どこへ行くと言うのだ? それより……。

「流石に披露宴はパスできなかったが、ウエディングドレス姿を赤尾のお二人に見せてあげられるからいいだろ」

「ーー私の気持ち、分かっていたの?」
「というより、僕の気持ちだ」

どうやら、公香の言葉通りだったようだ。

「私たち、似た者夫婦になりそうですね」
「そうか? 僕は君より数倍素直だと思うけど」

どの口が言う! 笑いが込み上げる。
「で、仲人の土田さんと真斗さんは、何て?」と訊ねる。

「結婚式のことまでは干渉しないと言っていた。ただ、離婚する時は早目に言ってくれだとさ、縁起でもない」

本気で嫌そうな顔をする葛城圭介に想いが溢れ、その頬にチュッとキスをする。

「圭介君、いつまでもそう思っていて下さいね」

ああ、と笑みを浮かべる彼に、「永遠に宜しくお願いします」と微笑み返す。



それにしても……見合いから始まった私たちの狂騒曲だが、これからどんな音色を奏でるのだろう。まぁ、多少音が外れても、ズレても、永遠に奏で続けよう、二人の狂騒……ではなく、協奏曲を!





見合い結婚狂騒曲
-THE END-
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