お見合い結婚狂騒曲
「三日前、突然『見合い屋』に登録させろと言ってきたんですよ」

それは急な話だ。心境の変化? 何が彼をそうさせた?

「じゃあ、あの大丈夫という……」言いかけた言葉は葛城圭介の鋭い視線で遮られる。

「大丈夫に決まっているじゃないか、『見合い屋』に登録したのだから」

エーッ、そういう意味だったの?

「恋人がいるとか、許嫁がいるとかじゃなくて、ですか?」

『恋人』の部分で僅かだが眉が上がり、『許嫁』で更に上がる。
やはり彼が困る何かがあったのだな、とほくそ笑む。

「ーーいたら登録しないだろ、君は馬鹿か」
「圭介、侮辱罪で訴えられるぞ」

本当に訴えてやろうか!

憮然と食事を進め、残すところ水菓子のみとなった時、土田さんがニコニコ顔で言う。

「仲人がこんな事を言うのは何んですが、今日は赤尾さんの自然なお姿が見られて嬉しかったです」

自然? ここに来てから、怒っていただけだと思うが……。

「こんなリラックスされた赤尾さんは初めてです」

リラックス? どこにそんな片鱗があった?

「意外に似合いの二人なのかもな」

真斗さんが、耳を疑うような恐ろしい発言をする。
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