お見合い結婚狂騒曲
「真斗、冗談も休み休み言ってくれ。彼女と僕が? チャンチャラ可笑しくて、ヘソで茶が沸かせるぞ」

なら、沸かしてお見せなさい! となぜか女王モードの私が、心の中で指差し言う。

「あら、そうでしょうか? 真斗さんが仰るように、お二人、とても気が合うような気がします」

気がするだけだ。幻覚だ、妄想だ、と心の声が反論する。

「ないですね」

だが、葛城圭介は土田さんにハッキリとした口調でキッパリ否定し、ご丁寧に、私に向かってリピートする。

「君はない!」

この男、本物のサイボーグだ。私でさえ、気を使って、本心は心に留めているというのに……いくら単細胞でお呆け子ちゃんでも、面と向かって冷たく拒否されたら、針の穴ほどは傷付く。そういうことも分からないのか!

でも、それを顔に出したら負けだ! グッと奥歯を噛み締める。

「お前、女性に向かってそれは無いぞ、謝れ!」

真斗さんが怒鳴る。

「謝らなければならない理由が分からない。言っておくが、先に謝るのは彼女だろ」

釣書の件を持ち出す。
なんて了見の狭い男だ! そんな奴はこちらから願い下げだ!

「私も貴方はありません!」とジェスチャーを添え、思わず口走ったその時、チーンと鐘が鳴ったような気がした。

ーー見合い決裂、ゲームオーバー。



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