お見合い結婚狂騒曲
「えっと、今日のメニューは……昼はパスタが三種で、夕食はトンカツ定食と舌平目のムニエルのプチコースかぁ。どれもイイじゃない」

フフンと鼻歌が出る。

職員は無料ではないが、とてもリーズナブルな料金で食べられる。
生徒の修行を見守る意味でも、一年の殆ど、私はMEで食事をする。

さてと、と携帯をポケットに仕舞い、冷凍庫からストックしてある野菜スープを取り出し、レンジで温める。そして、昨日買ったばかりのフランスパンを厚めに切り、軽くトーストする。あとはスクランブルエッグと生ハム。出来上がった物を大きなプレートに次々置いていく。

始業時間は午前九時。ギリギリ五分前に出ても余裕なのだが、私はいつも一時間前に部屋を出る。

七時十分。まだまだ時間はある。

本当は無性にボイコットしたい心境なのだが……社会人として、それはダメだろう、と自分に言い聞かせ、食事を開始しながら、ポチッとテレビの画面を変えた途端、ウッと喉を詰まらせる。

葛城圭介! アンドロイドのアップがババーンと画面に映し出されたからだ。
なっ、何だ! 何て心臓に悪い番組だ。
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