お見合い結婚狂騒曲
「ーーでは、食も人も出会い、ということですね」

美人アナウンサーが意味深に微笑む。
うわぁ、見え見え! 彼女、明らかに葛城圭介狙いだ。

「はい、一期一会です。一つ一つの出会いを大切なものとすれば、より深みあるものに発展すると思います」

だが、さすがアンドロイド。ピクリとも顔面を変えない。

食事をしながらボンヤリ見ていたが、アッと思う。この番組は生放送だ。
もしかしたら、今日は休みかもしれない……と。

だが、微かな希望を持った途端、「ありがとうございました。本日のゲストは……」とコーナーが終わってしまう。

ガクリと肩を落とし、そうだ、思い通りにいかないのが世の中だ、とやさぐれながらスープを飲む。

しかし、本当に引っ張りだこだな、とフランスパンを親の仇のように齧り、ムシャムシャ咀嚼する。

ーー生活圏は私よりはるかに広い。あのアナウンサー然り、出会いの場は多々有りそうなものだ。無理して見合いなどしなくても、あれだけハイスペックな男だ、例え失恋したとしても、すぐに次が見つかるだろうに……なぜ見合い?

本当に解せない男だ。



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