お見合い結婚狂騒曲
「結婚しようと思っていた女が、結婚すると言ってきた」
「あら、良かったじゃないですか、おめでとうございます」

ギッと冷たい眼が私を睨む。

「意味が違う。別の奴と結婚すると言ってきたのだ」

あらまあ、それはご愁傷様。

「初めて半年続いた彼女だった。だから結婚しようと思ったのだが、僕より条件のいい男が現れたらしい」

はぁ? ツッコミどころ満載の内容に、口がポカンと開く。

「君もそうだろう? より条件のいいパートナーを求めて見合いを繰り返しているのだろう」

否、ちょっと違うが、それより、ああ、分かった! あの時の憎々しげな瞳の意味が、これだったんだ。

「だったら、私と付き合わなくても」いいのでは、と言おうとしたのだが、「否、時間がないんだ」と意味不明な言葉で遮られる。

「今週末、祖父に会わす予定だったのだ」

葛城圭介曰く、見合いの日に、そのフラれた彼女にプロポーズし、次の週末、その祖父様とやらに結婚報告に行く予定だったらしい。

「何て無計画な」

開いた口が塞がらないとはこの事だ。

「それは違う。計画したからこうなったのだ」
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