お見合い結婚狂騒曲
「ちょっと待って下さい。人助けって、これ見合いですよ。結婚は人助けではありません!」

キッパリ言い切る土田さん。男前だ。

「えっと、それはそうなんですけど」

逆にしどろもどろの私は何ともカッコ悪い。
助けを求めようと公香に視線を向けるが……目を反らされる。

何て友達がいのない女だ。

「申し訳ございません。興奮してしまいました。場所を移しましょう。公の場で話す内容ではありませんでした」

突如我に返った土田さんは、私と公香を伴い『見合い屋』に移動する。

「真斗さん!」

オフィスに入るなり、土田さんが叫ぶように名前を呼ぶ。
私が詰める事務室の、有に二倍はあるお洒落な部屋に、土田さんの凛とした声が響く。

「どうかしましたか?」

のんびりした声が奥から聞こえ、真斗さんが顔を出す。

「第一打ち合わせ室にいらして下さい。あっ、コーヒーを四つ、ついでにお願いします」

「あっ、それなら私が」と、部屋に居た女性の一人が声をかけるが、土田さんが首を横に振る。

「久美さん、ありがとう。でも、真斗さんが持ってきて」

有無も言わさぬ強い口調に、二人はコクコクと頷く。
土田さん、最強!
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