お見合い結婚狂騒曲
もう、土田さんって何ていい人!

テーブルの上にある土田さんの手をギュッと握り、「好きです、土田さん」と感謝の意を込め言う。

「赤尾さん、真央さん! 落ち着いて下さい。私は夫も娘もある身。それに女性は論外です」

焦りながらも生真面目に答える土田さんが可笑しくて、公香も真斗さんも笑っている。

「土田さんって、スルメみたいだね。いいキャラしてる。俺も好きだわ」
「私も大好き」

土田さんの隣に座る公香がキュッと抱き着くと、土田さんはヒッと顔を引攣らせる。

「だから、私には夫と娘が」

全く、この二人には弱ったものだ。すぐ悪ノリする。
助け船を出そうと口を開けたところに、突然、第五の声が参入する。

「あら、楽しそうね」

私たちは一斉にドアの方を見る。

「アッ、社長!」

私以外の三人がビシッと立ち上がる。
小泉花香、その人が女帝の貫禄さらがらに立っていた。

「久美ちゃんから、真央ちゃんが来てるって聞いたものだから」
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