お見合い結婚狂騒曲
彼は「花香様の命です」と言い、黒塗りのベンツに私を乗せると、会員制の豪華なエステ店に連れて行った。そこで、私は頭の先から足の先まで、ドロドロに溶かされた。

エステがあんなに気持ちいいものだったなんて、もうビックリだ!

だが、ああいうのは、自分へのご褒美と称し、一年に一回ぐらいが丁度イイ。こう毎日となると、有り難みもなくなる。

聞けば、今週いっぱいこの予定だそうだ。
どうやら、これもバックアップの一環らしい。

これを公香に愚痴ると、羨ましい! と睨まれた。

「何、贅沢なことを言ってるの。第一、今まで真央が構いなさ過ぎたのよ」

公香曰く、女性たる者、美を追求しないで何を追求するのだ、だそうだ。

「貴女、見合いの前日、再々夜更かししてたでしょう。で、目の下にクマ作って見合いに臨んでいたでしょう。知ってるのよ」

ギクリとしていると、「幸せになりたいのなら、女を放棄しちゃダメ」と忠告される。
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