お見合い結婚狂騒曲
「お疲れ様でした」
帰りもやはりプライベートジェットだった。そして、未食ビルに着いたのは午後五時。移動時間を除けば、向こうで昼食を食べただけだった。だから、お土産なんて考える暇もなかったのに……。
「嗚呼、お疲れ様。香坂、あれを」
ベンツから降りようと、足を外に出したところで、葛城圭介が運転手の香坂さんに声を掛けた。
「かしこまりました」
香坂さんが車の後部に回り、トランクを開けるのを横目で見ながら、何をしているのだろうと、車を降りたところで、「こちらをお持ち下さい」と六つの紙袋を渡された。
「ハイ?」何だこれは、と思っていると、ウインドウが下がり、中から葛城圭介が、「土産だ」と言う。
「とんぼ返りだったからな、せめて土産で存分に北海道を味わってくれ」
「というわけなの」
「やだ、何、葛城さんて、メチャいい人じゃない」
「でも、これ、誰の趣味かしら。チョイスが渋過ぎ」と公香は木彫りの熊を撫でながら笑う。
確かに! タペストリーや絵葉書なんかも入っていた。
帰りもやはりプライベートジェットだった。そして、未食ビルに着いたのは午後五時。移動時間を除けば、向こうで昼食を食べただけだった。だから、お土産なんて考える暇もなかったのに……。
「嗚呼、お疲れ様。香坂、あれを」
ベンツから降りようと、足を外に出したところで、葛城圭介が運転手の香坂さんに声を掛けた。
「かしこまりました」
香坂さんが車の後部に回り、トランクを開けるのを横目で見ながら、何をしているのだろうと、車を降りたところで、「こちらをお持ち下さい」と六つの紙袋を渡された。
「ハイ?」何だこれは、と思っていると、ウインドウが下がり、中から葛城圭介が、「土産だ」と言う。
「とんぼ返りだったからな、せめて土産で存分に北海道を味わってくれ」
「というわけなの」
「やだ、何、葛城さんて、メチャいい人じゃない」
「でも、これ、誰の趣味かしら。チョイスが渋過ぎ」と公香は木彫りの熊を撫でながら笑う。
確かに! タペストリーや絵葉書なんかも入っていた。