お見合い結婚狂騒曲
その後、散々アイツの悪口を並べ立てていた公香が、「でも、葛城さんって」と言う。

「アイツに比べたら真面目なのかも。声がどうのこうの言ってたみたいだけど、男はしょせん男。その気になったら狼よ。どんなシチュエーションでもできちゃうものよ」

そんなものなのか、と思っていると、「でも、彼はストッパーを持ち出した。誠意かもね」と言う。

それは深読みだろうと思いつつ、ミステリー検定一級だしな、と思い直す。

「まぁ、一ヶ月も会わない人に、誠意も何もあったもんじゃないけどね。本当、土田さんじゃないけど、付き合う気あるんですか! と言いたくもなるわ」

上げたり下げたり、忙しい女だ。
でも、それもこれも、私を気遣っての言葉だと思うから、憎めない。

本当、可愛い女だ。



十二月二十日、今年最後の授業が終わった。葛城圭介は「じゃあ」の言葉だけ残し、旅立った。

私たち職員は、今週一週間、まだ仕事だ。私はWEBサイトの更新とリニューアルページを、休みに入るまでに仕上げなくてはいけない。
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