お見合い結婚狂騒曲
「真央さんはお正月休み、どうするんですか?」
「実家に帰るよ」

聞けば、南ちゃんは、東北にある旦那さんのご実家と、九州にある自身のご実家を右往左往するらしい。

「新婚だから仕方ないかもしれないけど大変ね。来年からウチみたいにすれば?」

大久保さんは、旦那さんのご実家も自身のご実家も、スープの冷めない距離にある。だから、毎年、年末年始は目先を変え、旅館の大部屋を貸し切り大宴会をしている。

「恒例のハプニングエピソードは実に愉快で良いですけど、ウチの親たちは堅物で……」

二人の会話を聞きながら、両家の幸せな光景が目に浮かぶ。

「どちらのご家庭も素敵ですね」

しみじみと言葉が溢れる。

「ヤダ、真央さんったら、真央さんだって、結婚したらそんな悠長なこと言ってられないわよ」

これは家庭を持つ主婦としての本音だろう。
大久保さんが、ワザとらしく溜息を付くと南ちゃんがクスクス笑う。

「でも、葛城先生とのご結婚なら、年末年始も庶民レベルじゃなくない?」

ん? 北海道の土産話はしたが、結婚の話はしていないはずだが……。
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