お見合い結婚狂騒曲
「真央さん! 何を言っているんですか、結婚は勢いです」
「そうよ、見合いでこんな条件のいいお話し、他には無いわよ」

条件かぁ、そうだよね、見合いなんだから……一ヶ月会えなくても、何の支障もないくらい気持ちが無いんだよね。

それが何だか、無性にモヤモヤする。
私、一体どうしちゃったんだろう……。

「とにかくです。相手を見極める上で、葛城先生と何度もデートを重ねるんですよ!」

南ちゃんの声に力が入る。

「そうそう、人間同士の心の距離は、実際に会い、会話をしたり、触れ合ったりしなければ縮まりません」

ん? 今、大久保さん、サラリと際どい発言をしなかった?

「真央さんはかなりの出不精ですから、注意して下さいよ。メールや電話越しではイマイチ距離は縮まりませんよ」

ウンウンと二人は大きく頷き、「私たち、ずっと応援していたんですから」と言う。

ーーそう言えば、お見合いのたびに報告させられていたな、と過去を振り返る。
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