お見合い結婚狂騒曲
「とにかく、クリスマスだけでも会えるようにしましょう!」
「そうだよ。イベントは大切にしなきゃ。それが二人の思い出になるんだから」

「そうです」と大久保さんの言葉に南ちゃんが大きく頷く。

「二人の思い出を積み重ねていくことが、共に人生を歩むに繋がるんですから」

ーー何だ、知らぬ間にとても深イイ話になっているぞ。

「二人とも、ありがとう」

だからその気持ちに感動し、感謝の言葉を述べたが、別段、葛城圭介に対しリアクションを起こそうとは思わなかった。何か言ったところで、あの男のことだ、興味なさげに一刀両断されるのがオチだろう。



ーーそして、十二月二十四日。クリスマス・イヴ当日。折しも日曜と重なり、世間は前日からお祭り騒ぎのように賑やか……だとテレビで言っていた。

そんな騒ぎを横目に、私は作業の遅れを取り戻すため、今日も出勤だ。
毎朝一時間早い出勤もそうだが、何者にも邪魔されず作業できる、この穏やかな環境が私は好きだ。
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