君が好きだと心から叫ぼう
君が言ってから今度は私が支度をして出る番


「私も早くお家でなきゃ」

部屋に戻るとカメラが目に入った

やっぱり綺麗。

「思い出詰まってるのかな」

一人で呟き、カメラを触った


私も君との思い出をカメラに刻みたい

そう心から思って、家を出た。


その日の夜、君はいつも以上に大荷物で帰ってきた


「…ねぇ?これなに?」

「アルバム」

ニコニコしながら包装紙を取る君は初めておもちゃを手に入れた子供みたいにワクワクしてて、面白くて笑ってしまった。


「はい、コーヒー」

「ありがと、さよ」

コーヒーを一口のんで「美味しい」と口にして

「さよ、あのカメラで好きなものを取り合おうよ、現像したら俺が写真入れておくからさ想い出を二人で詰めよう?」

私もココア飲もうと思って入れたココアを飲みながら君の言葉に返事した

「なんか、高校生みたいなこというのね」

「高校の終わりに出会ってるけど青春はしてないだろ、前青春したいって言ってたじゃん」

でも君から提案してくるのはとても珍しい


だから、私は
「いいよ、やろ想い出つくろ」

この答えしか元からないけど、
「じゃあ、早速」と君はカメラを手に自分のコーヒーと私のココアを並べて1枚

カシャと写真を撮った

これがアルバムの記念すべき1枚目。





月日が経って、アルバムが全て埋まった日の翌日、君は帰ってこなかった


雨の降った土曜の夜だった




< 9 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop