rose.princess
んーなんかふわふわしてる。
気持ちがいいなぁ。
まるで、無重力状態みたいに…
へ?無重力⁉︎
驚いて目を開けると、目の前にはお母さんとお父さんがいた。
これまた、びっくりして周りを見渡すと真っ白な世界で上も下もなくただふわふわ浮かんでいた。
結愛
「…なんで…お母さんとお父さんが…」
普通はこの空間に戸惑うだろうが、私は違う
だって、死んだはずのお父さんとお母さんがいるから…
結愛
「お父さん、お母さんっ!
生きてたんだね!」
そう、喜びながら言うとお父さんは悲しそうな表情で言った。
父
「ごめんな。先に置いていってしまって…
だが、これは夢だ。」
え…夢?
確かに、こんな空間だし納得出来るけど…
結愛
「じゃあ、これは私が作りだした夢?
幻なの?」
そう答えると、今度はお母さんが言った。
母
「いいえ。これは夢だけどこの姿は私たちが見せているのよ。
だから、これは幻だけど話しているのは本当の事なのよ?」
え?じゃあ、魂と話してる感じ?
母
「ふふっ、久しぶりに話せたから良かったわ
置いていってしまったから恨んでると思っていたのだけど、大丈夫そうね。
結愛…あなたの心は純白だわ」
結愛
「恨んでなんか!「分かってるわよ?これでも母親ですもの。」」
お母さん…
母
「それじゃあ、時間もなくなるし本題に入らなきゃね?
本当はもっと話していたいのだけど。」
そう言って、一瞬だけ悲しそうな表情をしたけどすぐに、いつもの優しそうな表情に加えて、真剣な表情をしてお父さんの方へ顔を向けた。
父
「あぁ、そうだな。」
そうお母さんに言って、今度は私の方を向いて言った。
父
「結愛今から、話す事は決して誰にでも話すんじゃないぞ。いいな?」
この雰囲気からして大事な話だと悟った。
そして、私が頷くと話が始まった。
父
「まず、俺らが死んだ事の真相について話そう。
昔、シークと言う名の闇系統の魔法使いがいた。
その魔法使いは、自分の闇の魔法で失敗し自分にかかってしまった。
その魔法のせいで、心は闇に染まり街で暴れてしまった。
そのうえ、シークはなかなか魔力の強い魔法使いだった。
だから、光を得意とする者でも闇を消し去る事は出来なかった。
消し去る事が出来なければ、また闇は広がり深くなってしまうからな。
そして、俺たちはその事を知っておきながらシークを封印したんだ。
俺らは
強い魔力を持つが、光ではないからな」
そう言われて思い出す、お父さんは火で、お母さんは水だった。
父
「あの時、俺が封印せずに光を持つ者に頼めば良かった。
あの時はまだ、未熟だった…
そして、闇は深くなると言っただろ?
シークの闇は深くなっていった。孤独とともに…
そしてその力に耐えられず、封印は壊れてしまった。
それからは、お前が知っている通りだ。」
そんな…
シークって人の所為で両親は死んでしまった。
だけど、シークさんは闇に呑まれて本当の自分ではない。
少し…いや、凄く複雑な気持ちになった。
その時、お母さんは言った。
母
「あなたは、今どんな気持ち?」
結愛
「すっごく複雑な感じ。
言葉では言い表せられないくらい。」
母
「これなら大丈夫じゃないかしら?」
父
「そうだな。この事を聞いても決して恨まず純白な心を保っている。
俺もいいと思う。」
ん???
何の話?
純白?
母
「今から言う事をよく聞いてちょうだい。
いいかしら。今からあなたをrose princessとするわ。
目が覚めるときっと、今までの何倍もの魔力になるわ。
ちゃんと落ち着いて、魔力を抑えなさい。」
え⁉︎
rose princessって、あの伝説の⁉︎
え、ちょっと待てよ?
今も結構魔力が強いのにさらに強くなるの⁉︎
父
「落ち着け。結愛
大丈夫だ。お前ならできる。」
うん。そうだよね。
大丈夫。お父さんが言うんだから。
覚悟は決めた。
結愛
「うん。大丈夫。
私、頑張るよ!
って、いうか何を?」
rose princessになる覚悟は決めたけど、何のために?
母
「あ、言い忘れてたわ。
シークがあなたを探してるのよ。
だから、力を授けるわ。」
へぇー、シークが探して…ってえ⁉︎
って事は、直接対決って事⁉︎
まぁ、私は光が得意だけど…
母・父
「大丈夫。あなた(お前)ならできる」
強い瞳。
二人の瞳は、不安に揺れていなかった。
きっと、できる。そう信じてる。
そんな意思が伝わってくる。
結愛
「わかった。
私、頑張るっ!」
母
「ふふっそれでこそ結愛よ。
あ、そうそう
SAKURA魔法学園に入りなさい。
あそこなら、色々な事が学べるわ。」
SAKURA魔法学園かぁ。
まぁ、自分で言うのも何だけどSAKURA魔法学園に入れる学力はあるし、力も増えるし…
結愛
「うん。分かった。
絶対に、失敗しないよ!」
父
「頑張れよ!結愛
いつでも見てるからな!
それと、周りに頼る事も忘れるなよ?
結愛は、女の子なんだからな」
そう言って、微笑んだお父さん。
それにつられて、私とお母さんも微笑んだ。
母
「あら、もう時間だわ。
とにかく自分を忘れない事。
さようなら。結愛」
父
「そうだぞ!
周りに人がいる事を忘れるなよ。
なんでも一人で抱え込むな。
さようなら。結愛」
父・母
「愛してる」
お父さんと、お母さんがそう言うとだんだんと意識が薄くなって行く。
私は、意識が薄れる中、『愛してる』そう伝えた。