君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
喜ばれる手紙

流れゆく鮮緑




「もう絶対こんなの引き受けない。剣道に集中するって言ってたのはどの口だ?」


ゴミに向けるような目で深月に見降ろされ、あたしは教室の隅に正座をしながら肩をすくめた。


膝の上には4通の手紙。そう、ラブレターである。

また頼まれ、断り切れず結局全部引き受けるはめになってしまった。しかも今回は他のクラスの子から預かった手紙もある。


「いやあ……自分でも、どうしてこうなったかさっぱり」

「どう考えても自業自得だろ。ほいほい引き受けるからこうなるんだ」

「返す言葉もございません……」


というのも、あのヤケになりながら校舎を駆け回り届けた3通のラブレター。それがまた奇跡なんて騒がれる結果を生んでしまったのが原因だ。

昨日までに手紙を書いた3人とも、恋が叶ってしまった。全員OKの返事をもらったのだ。


信じられないといった様子ではしゃぎながらそう報告してきた女の子たち。でもいちばん信じられないのはあたしだ。

だって……あれでOKなの? 正直最後に渡した吹奏楽部の先輩なんて、完全に引いてたよ?

あたしもイライラしてたから、やっつけ仕事みたいになっちゃって申し訳なかったなって、家に帰って反省もしたし。

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