君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
あたしは不安だ。ものすごく不安。
だって加奈子や樹里の時とは明らかにちがってきてる。
この4通の手紙に込められた想いがどんな形をしているか、どんな色をしているか、あたしは何も知らない。ただ重いってことだけしか、わからない。
それでいいって、彼女たちは言う。ただ届けてくれるだけでいいって。
あたしが奇跡を起こすのを、身勝手に期待してるからだ。
そんな大層な力、あたしは絶対に持ってないのに。偶然が重なっただけにちがいないのに。
だから、もういいやって。
何も知らないまま渡すだけの、本当にただの配達員になってやろうって。そう思った。
もういちいち断ることの方が、あたしにとってはずっと面倒で、労力が必要で、つらい。
それならさっさと引き受けて、事務的に配達する方がよほど楽だ。
素直に深月にそう言うと、呆れと同情が混ざったようなため息をつかれた。
「どうしてお前って……」
「あたしが何?」
「いや……。お前も俺も、こんなことしてる場合じゃないってのは、わかってんだよな?」
意思確認みたいな尋ね方をされて、ピンと背筋を伸ばした。