君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
街で見かけた、ちっとも智花らしくない派手な服は見当たらない。
帰ってきた時は、家を出た時のあの地味な服だった。もちろん化粧もしっかり落とされて、優等生の智花に戻っていた。
隠してるってことは、やましいことがあるってこと。そうじゃなければ堂々と出来るはずだ。
「……別に、歩には関係ないでしょ」
表情を一転させ、不機嫌を露わに智花が言う。
「そりゃ智花の友だち関係に口出すつもりはないけど……あれ、ほんとに友だちなの?」
「そうだよ、友だち。信じられない?」
「どうやって知り合ったの? 学校の友だち……じゃ、ないよね」
智花の学校はわりと偏差値が高くて、真面目な生徒が多いことで有名だ。不良なんてカテゴリにいる人種はもちろん在籍していない。
「ネットで知り合ったの」
「ネットって……それ、大丈夫? なんか騙されたりとかよく聞くし」
「騙されてなんかない!」
智花はそばにあった机を叩いて、あたしを振り返る。いつも落ち着いた印象の目が、血走っていた。
「友だちだよ! 歩なんかよりあたしのことをよくわかってる、大事な友だち!」
「智花……?」