君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
◆
「あら? 歩、今日は随分早いのね?」
「うん……ちょっとね」
家の玄関で靴を脱いでいると、リビングからひょっこりお母さんの顔が覗いてきた。
下手に追及される前にさっさと階段をのぼり、自分の部屋に駆け込んだ。
カーテンを引いていないのに薄暗い部屋は、まるで海の底みたいに静かで冷たい。
ブルーのカーテンにしたことを後悔した。余計に寒々しく感じる。
ドサリと荷物を床に落とし、呟く。
「……なーにやってんだ、あたし」
結局放課後の部活もサボってしまった。
スマホの電源は学校を出る時にオフにしたままだ。優ちゃん、怒ってるかな。深月は……たぶん呆れてるな。
こんな気持ちで剣を手にしたところで、何が出来るだろう。
なんて、かっこいい言い方してもこんなのただの逃げだ。あたしが得意なやつ。
全然成長してないんだな。ほんと、笑えるくらい。
ふらりと机の前に立つ。自分の机ながら、ひどく汚い。
筆記用具とかプリントとか漫画とか、なぜか靴下まで積まれて、本来の使い方をするスペースがない。
実際ここで勉強することなんて、テストの前日くらいしかないから問題ないんだけど。
「あら? 歩、今日は随分早いのね?」
「うん……ちょっとね」
家の玄関で靴を脱いでいると、リビングからひょっこりお母さんの顔が覗いてきた。
下手に追及される前にさっさと階段をのぼり、自分の部屋に駆け込んだ。
カーテンを引いていないのに薄暗い部屋は、まるで海の底みたいに静かで冷たい。
ブルーのカーテンにしたことを後悔した。余計に寒々しく感じる。
ドサリと荷物を床に落とし、呟く。
「……なーにやってんだ、あたし」
結局放課後の部活もサボってしまった。
スマホの電源は学校を出る時にオフにしたままだ。優ちゃん、怒ってるかな。深月は……たぶん呆れてるな。
こんな気持ちで剣を手にしたところで、何が出来るだろう。
なんて、かっこいい言い方してもこんなのただの逃げだ。あたしが得意なやつ。
全然成長してないんだな。ほんと、笑えるくらい。
ふらりと机の前に立つ。自分の机ながら、ひどく汚い。
筆記用具とかプリントとか漫画とか、なぜか靴下まで積まれて、本来の使い方をするスペースがない。
実際ここで勉強することなんて、テストの前日くらいしかないから問題ないんだけど。