君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
「詳しくは聞いてないけど、部活中に倒れたっていま学校から連絡があったのよ。あんた部活行かなかったの?」
「あ、あたしのことはどうでもいいじゃん。それで、優ちゃんは」
「意識はすぐ戻ったらしいけど、念のため顧問の先生が病院に連れて行くって。白木さんちに優一郎くんのこと頼まれてるから、お母さん行ってくるから」
「あ、あたしも! あたしも行く!」
勢いよく立ち上がったけど、思い切り迷惑そうな目を向けられて怯んだ。
「あんたが来てどうすんの。邪魔なだけでしょ」
「だって、心配だし!」
「うるさいのがいたら、優一郎くんの具合いも悪くなるじゃない」
「そんな騒がないよ! 子どもじゃないんだから!」
「ほら、既にうるさい。いいからあんたは待ってなさい。遅くなるかもしれないから、悪いけどご飯は適当に済ませてね。智花はまた勉強で遅くなるみたいだし、お父さんにもそう伝えるから」
口を挟む隙もなく、まくし立てるように話し終わるとお母さんはバタバタと家を出ていった。
部屋にまた、静けさが戻ってくる。不安を煽るばかりの、静けさが。
ふと視線をやった窓の外では、いつの間にか雨が降り始めていた。