君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている


「歩、サボるなよー」

「……はーい」


ノロノロと動き出すあたしを、優ちゃんは先に立って待っている。


いつもそうだ。

あたしたちはいつも、こういう立ち位置だった。それが心地よくて、大切で、壊したくなくて。

中学の頃から、あたしはなんにも成長していない。


それでいい。

少しでも長く、このままでいたい。


考えたくないことだけど、来年にはここから優ちゃんがいなくなる。

どうしたって、卒業の季節はやってくる。

あたしがどれだけ拒んでも、みんな大人になっていく。



このまま時が止まってしまえばいいのに。


いつだってあたしはそう願ってる。

でもきっとこの願いも「子どもだな」って、大人になっていくみんなはバカにするんだろう。


どうしても、大人にならなきゃいけないんだろうか。

望んでないのに、身体ばっかり大きくなって、心が追い付かないまま大人にならなきゃいけないのかな。

< 24 / 333 >

この作品をシェア

pagetop