君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
「歩、サボるなよー」
「……はーい」
ノロノロと動き出すあたしを、優ちゃんは先に立って待っている。
いつもそうだ。
あたしたちはいつも、こういう立ち位置だった。それが心地よくて、大切で、壊したくなくて。
中学の頃から、あたしはなんにも成長していない。
それでいい。
少しでも長く、このままでいたい。
考えたくないことだけど、来年にはここから優ちゃんがいなくなる。
どうしたって、卒業の季節はやってくる。
あたしがどれだけ拒んでも、みんな大人になっていく。
このまま時が止まってしまえばいいのに。
いつだってあたしはそう願ってる。
でもきっとこの願いも「子どもだな」って、大人になっていくみんなはバカにするんだろう。
どうしても、大人にならなきゃいけないんだろうか。
望んでないのに、身体ばっかり大きくなって、心が追い付かないまま大人にならなきゃいけないのかな。