君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
優ちゃんの病室に行くと、なぜか奥のベッドのカーテンは綺麗にまとめられ、ベッドももぬけの殻だった。
優ちゃんがいない。荷物も、名前のプレートもない。
慌ててナースステーションに行くと、個室に移動になったと言われ、部屋番号を教えてもらいほっとした。
鳥肌の浮かんだ腕を、なぐさめるように手でさすった。
大部屋、狭かったから個室を希望したのかな。他人がいる部屋だときっと夜も眠りにくいだろうし。
そう考えながらも、嫌な予感は拭いされない。
緊張しながら教えられた部屋の前に立ち、深呼吸をしてノックをした。
その直後、中から何かが落ちるような音がしたから、返事を待たずに白いドア勢いよく開いた。
「優ちゃん!?」
足元に、マグカップが転がっていた。透明な液体が床に小さな水たまりを作っている。
優ちゃんはいた。洗面の前で、カウンターに手をついてもたれかかるような状態でえづいていた。
「大丈夫、優ちゃん!?」
水たまりを飛び越えて、優ちゃんの傍に駆け寄る。丸まった背中に触れると、びっくりするほど熱かった。
ひどい熱。しかも吐いてる。
震えて苦しそうに息をして、こんな優ちゃん見たことない。