君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている

まだ食べ始めたばかりみたいで、唐揚げは温かかった。

冷めても美味しいけど、やっぱり出来立てが最高。


もうひとつ食べようとしたけど、伸ばした手をお母さんに叩かれて諦める。


「さっさとお風呂入ってきなさいよ」

「えー。お腹空いてんだけど」

「そんな臭い身体で食べないでちょうだい。こっちの食欲までなくなるでしょ」


そりゃそうなんだけど、もうちょっとオブラートに包んだものの言い方してくんないかな。

お母さんはあたしに当たりがきつい。

部活で汗かいてがんばってる娘を、もっと労ってくれてもいいと思う。


「ほらほら、早く行った行った」

「ふえ~い。あ、唐揚げとっといてよね!」

「食欲だけは人一倍で、困ったもんだわ。あんたも智花を見習って手伝いのひとつでもしてみなさいよ」


まーた始まった。

うんざりして内心舌を出す。

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