君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
そんな剣道漬けの毎日は、瞬く間に過ぎていった。
優ちゃんに会えない時間を、まるまる剣道で埋めてきた。
今頃どうしてるだろう。苦しんでるんだろうか。少しは病気も良くなってきてるだろうか。
一切の連絡がない中、それでも優ちゃんを信じて、心配で張り裂けそうになる胸を必死に押さえて、走り続けた。
前だけを見据えて、希望だけを追いかけて。
背後から迫ってくる不安を振り切って、けれど消し去ることもできないまま、大会本番を明日に控えた夜。
いつもの居残り練習を軽めで切り上げ、深月といつもの帰り道、肩を並べて歩いていた。
前に3人で一緒にアイスを買って食べたコンビニに差し掛かった時。「寄ってくか」と深月が言って、買ったのはやっぱり、ひんやり冷えたアイスだった。
半分に割って食べるタイプのやつで、深月は半分にしたそれをあたしにくれた。
前祝いだって。
気が早いって笑ったけど……深月があたしを信じてるんだってわかって、嬉しかった。
「あたし、勝ちたい」
「おう」