君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
はためく禁色
◆
甲高いかけ声とほぼ同時に竹刀のぶつかる音が上がる。
あたしは肩を強張らせながら目の前のコートを見つめていた。
でも試合中の選手の動きをただ目に映しているだけで、その内容はちっとも頭に入ってこない。
どちらが勝つかでもなく、ただいつ終わるかと。もう次の瞬間には終わるのかと。
面の下で歯をカタカタ鳴らし、震える手で竹刀を握りながらその時を待っている。
つまり、どうしようもなく緊張していた。
試合まえはいつだって緊張してるけど、いまはその比じゃない。
いますぐこの場から逃げ出したいくらい、緊張がマックスに達している。
すぐ横に補助で入ってくれた1年生の後輩がいるけど、遠慮してか声もかけてこない。
あまりにもあたしが震えていて、どんな言葉をかけていいかもわからないのかもしれなかった。
性別はちがうけど、先輩として情けない。
でもどうがんばっても、この全身の震えを抑えることが出来そうになかった。
目の前で行われてるのは県大会3位決定戦。
さっきあたしと対戦した相手が戦っている。
準決勝は危なかった。ギリギリだった。お互いなかなか有効打突がとれなくて、あとはどれだけ攻められるかにかかってた。
甲高いかけ声とほぼ同時に竹刀のぶつかる音が上がる。
あたしは肩を強張らせながら目の前のコートを見つめていた。
でも試合中の選手の動きをただ目に映しているだけで、その内容はちっとも頭に入ってこない。
どちらが勝つかでもなく、ただいつ終わるかと。もう次の瞬間には終わるのかと。
面の下で歯をカタカタ鳴らし、震える手で竹刀を握りながらその時を待っている。
つまり、どうしようもなく緊張していた。
試合まえはいつだって緊張してるけど、いまはその比じゃない。
いますぐこの場から逃げ出したいくらい、緊張がマックスに達している。
すぐ横に補助で入ってくれた1年生の後輩がいるけど、遠慮してか声もかけてこない。
あまりにもあたしが震えていて、どんな言葉をかけていいかもわからないのかもしれなかった。
性別はちがうけど、先輩として情けない。
でもどうがんばっても、この全身の震えを抑えることが出来そうになかった。
目の前で行われてるのは県大会3位決定戦。
さっきあたしと対戦した相手が戦っている。
準決勝は危なかった。ギリギリだった。お互いなかなか有効打突がとれなくて、あとはどれだけ攻められるかにかかってた。