君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
目を見開いた。面の奥を覗き込むように、深月が顔を近づけてくる。
「そ……れは、あたしじゃ、ひとりでは勝てないって……」
「そうじゃない。無理にひとりになろうとするなって言ってるんだ。頼っていいんだ。助けてくれって言っていいんだよ」
「そんな……それじゃあ、いままでと何も変わらない!」
「変わるんだよ、ちゃんと聞け!」
それまで黙っていた後輩が、遠慮がちに「先輩、そろそろ……」と声をかけてくる。
横目で確認すると、コートから選手が出ようとするところだった。
「いままで主将に甘え切ってたお前も、主将から離れてひとりで歩こうとしてるお前も、どっちもただのひとりよがりだ! 周りが全然見えてない!」
「じゃあ、じゃあ、どうしたらいいの!?」
「だから頼れって言ってるだろ! お前はひとりじゃない! 仲間が、俺がいるじゃねぇか!」
ビリビリと、深月の声が空気を震わせる。
深月が怒ってる。いや、悲しんでるのか。どうしてわからないんだと、嘆いてる。
「あれだけ依存してたのに、急に自立しようとしたってどうやっていいかわかんねーんだろ」
「あ、あたし、自立しようとしてんの……?」