君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている

お母さんは部活ばっかのあたしより、帰宅部で勉強できて、手伝いもすすんでやる智花を贔屓する。

まあね、男みたいなあたしより、おとなしくて女の子らしい智花の方がそりゃ可愛いと思うよ。


例え血が繋がってない、再婚相手の連れ子でも。


「まあまあ、お母さん。歩は部活で疲れてるんだし」

「やだ、ちょっと。歩、聞いた? 智花は本当にいい子ねぇ」


ほら、こうやってあたしのことを庇う、優しい良い子の智花。

中学の頃はおとなし過ぎて、人付き合いも上手くない感じだったけど、高校生になってかなり明るくなった。

別々の高校に進学したからわからないけど、良い友だちができたんだろう。


頭が良くて、親の言うことをよく聞く、明るく優しいしっかりもの……なんて、どんな完璧な娘を目指してるんだ智花は。

なんだか優ちゃんみたいで、智花を見てるとモヤモヤする。

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