君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
たまに智花に申し訳ない気持ちになることもある。
さっきみたいに部活で疲れているところを、お母さんの小言からかばってくれた時とか。
自分でも、都合よく甘えているなって思う。
智花もたまには、言いたいこと言えばいいのに。
わたしにばっかり手伝いさせるなって。
お母さんが持ち上げてくるのが鬱陶しいって。
わたしだって好きに過ごしたいんだって。
どうして言わないんだろう。誰のためにいい子やってるんだろう。
しんどくないのかな、本音も言えないで。
そう思うのに、言いたいことを言わない智花に安心してる自分がいる。
高校生になって、明るくなって、なんだかちょっと変わったように感じる智花だけど、それでもやっぱり本音を言えずにいるのを見ると、妙にほっとするんだ。
脱衣所で制服のシャツを脱ぎ、鏡を見る。
女らしい丸みのない、骨ばった、ところどころ痣の浮かぶ身体。
中学の頃とあまり変わらない、貧相な身体。
そこに映っている自分が、ひどく歪んで見えた。