君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている

「智花と優ちゃんは、よく似てるよ。しっかり者で、穏やかで、人当たりがよくて、勉強もできて。非の打ちどころのない存在っていうか。周りもそう思ってて、真面目だからふたりとも期待に応えようとして、がんばって。がんばり過ぎるほど、がんばっちゃって……苦しんでた」


しかもその苦しみを表に出そうとしない所まで似ている。

器用だと思っていたけど、不器用だったのかもしれない。ふたりとも、あたしには言われたくないと思うけど。


「似てるから、惹かれたのかな。あたしにはわからないけど……優ちゃんは、ずっと智花を待ってたんだと思うよ。ずっと、優ちゃんのことを本当に理解してくれる人を、待ってるんだよ」


病院で苦しみながら、あえぎながら、待っている。

救いの手を探し求めるみたいに。


そんな優ちゃんに手を差し伸べられるのは、ひとりしかいない。



「行ってあげて、智花」



お願い、と。その手に汚れてしまったラブレターを返した。



「そしてこれはあたしからじゃなく、智花の手で渡してあげて」



それが、答えだった。

どうすればいいかなんて、最初から決まってたんだ。最初から。




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