君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
闘病でつらい思いをしてる中、優ちゃんはずっとあの時のことを気にしてくれていたらしい。
やっぱり優ちゃんは、強くて優しい自慢の幼なじみだ。
あたしも智花の手紙を隠していたことを、正直に話して謝った。
智花はわざわざ言わなくていいって言ってくれたけど、自分がそれを許せそうになかったから。
「わたしも言わなきゃいけないことがあるの。中学の時、歩に手紙を頼んだの……あれ、計算だった。歩と優くんが仲が良いのわかってたから、どうやったら割り込めるか考えて、それで……ごめん」
そんな智花の告白には驚いたけど、怒りとか哀しみとか、そんなものはちっともわかなかった。
もう、終わったことだから。ちゃんと幸せって形で昇華されたことだから。
お互いすべて気持ちを口に出して、あたしたちは元通り。
元の仲の良い幼なじみ、気の置けない友だち兼姉妹になれた。わだかまりはもう一切ない。
でもやっぱり幼なじみより恋人が優先だろうから、遠慮してお見舞いは週1、2回にしている。
付き合い立てのカップルの邪魔をして、馬に蹴られたくはないからね。あたしがそう言うと、ふたりとも顔を赤くして恥ずかしそうに笑っていた。
視線を合わせて微笑み合うふたりを、心から祝福できたことにほっとした。
少しは大人になったでしょ?
過酷な入院生活ですっかり痩せてしまったけど、幸せそうな優ちゃんに、あたしは心でそう語りかけた。