君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
樹里もそう同意してくれて「だよね?」と安心した。
実際加奈子の手紙は受け取ってもらえたってだけで、山岡先輩からお付き合いOKの返事をもらったわけじゃないんだし。
でも加奈子はそうは思わなかったらしい。
「そんなことないって! 歩だったから、山岡先輩はあたしのラブレターを受け取ってくれたんだよ」
「いや、それはさ……」
「あの山岡先輩が受け取ってくれたんだよ? 奇跡なんだよ、それって! 歩が奇跡を起こしてくれたの!」
教室でまだお昼ごはんを食べているクラスメイトたちが、なんだなんだとこっちを見るのがわかった。
ほんとやめて! 変な噂が立ったら困る!
他人の恋愛事なんて面倒なだけなのに!
「わかった。わかったからちょっと静かに……」
「歩に任せれば大丈夫! 千世、安心していいよ!」
いや、安心されちゃ困るんだって!
あたしは全然安心できないし、他人の手紙なんて恐怖でしかない。
「ちょっと加奈子はほんと黙ってて……」