君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
それは諦めみたいなものが混じった笑いだった。
しょうがないなと、越智くんの顔が言っている。
「小島さんの押しに負けた。さすが剣道小町」
「受け取ってくれるの!?」
「受け取るだけね。それでいいだろ?」
越智くんの手がしっかりと、封筒を取った。
その瞬間、あたしは両手を上げて彼から距離をとる。
「言ったね? やっぱり返す、とか言われてもあたし絶対受け取らないからね!?」
「言わないって、そんなこと」
「ほ、ほんとに? やった! 越智くんありがとう!」
飛び跳ねるあたしに、越智くんは疲れたように肩を降ろした。
「手紙がかわいそうって言われたら、仕方ない」
「越智くん……」
「手紙に罪はないんだもんな? はーあ、まったくその通り。負けた負けた!」
やけくそ気味にそう言って、越智くんは真っ白な歯を見せて笑った。
青空に咲く、太陽みたいな笑顔だと思った。