君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている

満面の笑みで両手のひらをかかげれば、条件反射のように深月も両手を上げて、パンと軽快にハイタッチする。

そのまま深月の両手首をつかんで、引っ張りながらぐるぐるその場で回った。


「まじかよ……あそこから一体どんな手使って受け取らせたんだ?」

「そこはあたしの人徳ってやつかな!」

「人徳だぁ? どうせムリ言って押し付けたんだろ?」


まあ、ムリを言っていないといえば嘘になる、かもしれない。

でも押し付けたわけじゃない。

ちゃんと越智くんが自分の意思で受け取ってくれたんだと信じてる。


「がんばったと思わない? 千世も喜んでくれるかなあ!」

「喜ぶかもしんねーけど……なんでお前までそんなに嬉しそうなんだよ?」

「えー? だって、嬉しいじゃん! 越智くんは優しい人だった! 手紙の痛みをわかってくれる人だった! 千世は見る目あるわ~」

「手紙の痛み? 何言ってんだお前」


あきれ顔の深月を引っ張り、剣道場の方へと向かう。

いまなら楽々、深月から1本とれそうだ。

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