君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
いちばん大きな声で喜んでいた加奈子が、跳ねるようにこっちに駆け寄ってきて、がしりと強くあたしの両手を握りしめた。
「やった! やったじゃん歩! これって完全に歩のおかげじゃん!」
「い、いや……あたしにも、何がなんだか」
だって、越智くんは返事は直接しないってはっきりそう言ったんだ。
手紙は受け取るだけで、応えない。それが答えだって。
「でもでも! 返事しないって言ってたのに来てくれたんだよ!? 歩が手紙を渡してくれたからに決まってる!」
「わ、わかんないけど……。それに越智くんが返事をしに来たかどうかも、そうだとしても答えがOKかどうかも、さ」
「わざわざ来てくれたんだから、返事に決まってるって! うわあ、どうしよう! あたしまでドキドキしちゃう!」
落ち着いて待ってはいられない様子で、加奈子はふたりが消えていったドアの方に向かっていった。
そわそわと廊下をのぞきこむ加奈子をマネして、他の女子も何人か団子みたいにかたまって千世の帰りを待っている。
「あれって……やっぱそういうこと?」