君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
パックのお茶をストローで飲んでいた樹里に半信半疑でたずねると、軽く肩をすくめて返された。
「まあ、タイミング的にそうなんじゃないの?」
「そっかー……すごい。昨日の越智くんの感じじゃ、返事は絶対ないって思ったのに」
「加奈子じゃないけど、それはあんたのおかげなんでしょ」
長い髪をかきあげて、樹里がなぜか誇らしそうに笑う。
「歩が手紙を渡したから、奇跡が起きたんだって」
「あたしは、別に……。っていうか、奇跡っておおげさだなあ」
「あたしも加奈子の時はそう思ったけど、でもいまは奇跡って言ってもいいんじゃない?」
「ちょっとー。樹里までやめてよねえ」
あたしはただ、頼まれたから渡しただけだ。
それもイヤイヤ、仕方なく。
その結果が奇跡なんて言われても、全然ピンとこないし、不似合いすぎて落ち着かない。
「ふふ。2度目だね」
「2度? なにが?」
「2度目の奇跡。あたしも好きな人できたら、歩にラブレター渡してもらおっかな」