君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている



予想外の事態は、さらなる予想外をつれてきた。

加奈子と千世の話を聞いた女子が、またあたしにラブレターの受け渡しを頼んできたんだ。



「はあっ? やだよ、絶対やだ!」

「お願い! 渡してくれるだけでいいの! それくらいいいでしょ?」


良くないよ全然! その渡すだけっていうのが本当に困るんだっていうのに。


それなのに、頼んでくるのはひとりじゃなかった。

越智くんが昼休みに現れた次の日に、一気に3人にラブレターを頼まれてしまて、もう途方に暮れるしかない。


「加奈子のは引き受けたんだよね? そう重くとらなくていいから、お願い!」


そんなこと言われても、重いものは重い。軽くなんてならないのに。


花柄、水色、ハート模様。

3通の手紙を机の上に並べて、深くて長いため息をついた。


窓から見える青空には雲がひとつもなくて、それがなぜかちょっと寂しく見えた。

もう少し白い雲があるほうが、青空も太陽も映えると思うんだけどな。

そっちの方が熱くなってきた日差しも軽減できる気がするし。


「あんたは今日、ため息ばっかりだね」

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