君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている

「加奈子たちのは引き受けたんでしょ?」って言われたら、どうしても断りにくくなる。

ふたりのは受けたのに、自分のは引き受けられないのはどうして? と聞かれても、上手く答えられないし相手を納得させられる気もまるでしない。

泣きそうになりながら頼んでくる子もいて、結局全員に押し切られる形で受けるハメになった。


あたしのなけなしの良心こそ泣きそうだよ。擦り減ってもういまにも消えてしまいそうだ。

重くとらなくていいって言うけど、それは逆に軽く見てるんだと思う。

心をこめたラブレターを、相手に渡すってことを、軽く見過ぎてる。


「別にさあ、昨日の千世のはあたしが奇跡を起こしたとかじゃないんだよ。あれは千世ががんばって書いた手紙が、かたくなな越智くんの心を変えちゃうくらいの、すごいパワーを持ってたってことなんだから」

「そりゃあ千世の手紙が真剣なものじゃなかったら、越智くんからOKはもらえなかっただろうけど。そもそも歩がいなかったら、手紙は受け取ってもらえなかったんだから、やっぱり奇跡の一端は担ってるんじゃない?」


そう言われても、やっぱりあたしにはピンとこない。

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