君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている

わかりたくない、のかもしれないな。

奇跡を起こした、すごいことをしたってもてはやされたくないんだ、あたしは。

こんなのたいしたことじゃない、誰でもできる。そう思いたいのか。


「……もう絶対受けない。この3通で終わりにする」

「はいはい、そうできたらいいね。がんばれー」


完全に他人事だと思ってる樹里が恨めしい。1通くらい引き受けてくれればいいのに。

そんなことしたら、頼んできた子に何言われるかわかんないからしないけど。


「3通とも今日で終わらせてやる!」

「その意気その意気~」

「でも男子の顔全員わかんないんだけど! 手紙に顔写真もつけてくれたらいいのにっ」


結局手紙を引き受けてすぐ、深月に案内を頼んだ。ものすごく嫌な顔をされたけど、あたしだって頼みたくないよ本当は。

昨日に続いて部活に遅刻したら、今度は優ちゃんからどんな罰を受けることか。

さすがに2日連続、まともな稽古が出来ないなんてことは避けたい。


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