君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている

離れると、色々難しいよね。なんて鈴木少年は寂しそうに語るけど、生憎あたしは遠距離どころか近距離恋愛だってその難しさはさっぱりわからない。


たぶん深月もさっぱりだと思う。

コイツが過去に何人の女と付き合ってきたかなんて興味ないけど、とりあえず離れたくらいで気持ちも離れるなら、それまでだって簡単に切り捨てそうだ。

うん。絶対そう。


「じゃあ別に問題ないじゃん。だいたい、ラブレターもらったくらいで浮気にはなんないでしょ? フラれそうなら尚更」

「そうかなぁ……」

「成実のこと、きらい?」

「いや、それはないよ! 彼女いる身で言うのもあれだけど……可愛いなって思ってた」

「じゃあ受け取るしかないでしょ! 何が不満なわけ?」


まったく、どうしてこう男ってのはさくっと素直に受け取らないかな?

女の子が一世一代の大勝負かけて書いた手紙なんだから、受け取らないってありえないでしょ。

なんだんだよもう、どいつもこいつも。男らしく「ありがとう。嬉しいよ」って余裕で微笑むくらいの度量見せてみろ!


優ちゃんならきっとそうする。そうしてる。

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