君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている

「不満とかじゃなく。不誠実だろ? まだ彼女と別れてないし。近々別れたとしても、それですぐ久坂さんにってわけにはいかないし……」


こういうのを、優しいとか気遣いができるとか言うんだろうか。

なんだか印象がどんどん変わってきた。優しいっていうか、優柔不断って言った方が正しいのかもしれない。

似てるようで、全然ちがう。優ちゃんと深月くらい全然ちがう。


本当に優しい人は、迷わない。強いから、信念を持ってるから、自分がどう思われることも厭わないから、誰かのために優しくできる。

少なくとも、あたしの知ってる優しい人はそうだ。


「へー。じゃあどうしたら誠実になるの?」

「え? うーん。とりあえずまず彼女とちゃんと別れるだろ?」

「うんうん」

「それから、そうだな……半年くらい経ってからなら、彼女に対しても久坂さんに対しても失礼にならないかな」


聞いてるだけでイライラしてきて、もう我慢できなくなった。

うだうだうだうだ、言い訳ばっかか!


気付けば鈴木くんのシャツの胸倉をつかんでこう叫んでいた。



「そんなもん知るかーっ!!」


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