君への最後の恋文はこの雨が上がるのを待っている
あんたの言い訳なんてどうでもいいんだよ! そんなのあたしには全然なんの関係もないんだから!
あたしにガクガク揺さぶられ、鈴木くんは一気に青褪めていく。
「おい。暴力はまずいぞ。こんなことで大会出場停止にでもなったら笑えねー」
「ほんとにね! ああくだらない! 男ってほんとしょーもない!」
「ひとくくりにすんな。迷惑だ」
不快げに言うと、深月はさっさと先に歩き出した。
よろけて靴箱に寄りかかる鈴木くんを振り返る。その足元に花柄の手紙が落ちているのを見て、余計に腹が立った。
成実の手紙を拾って、鈴木くんの胸に叩きつけるように押し付けた。
「誠実だの不誠実だの、そんなの全部鈴木くんの中の物差しで言ってるだけでしょ? それを成実に押し付けんのはどうかと思う」
「そ、そんなつもりじゃ……」
「どんなつもりでも、成実がその手紙書くのに悩んだ分だけ、あんたもちゃんと悩んで答え出すのが誠実な態度だって、あたしは思うけどね!」
じゃないと、やりきれない。成実も、成実が書いた手紙も。
呆然と立ち尽くす鈴木くんを残して、あたしも深月の後を追った。
本当に、恋愛ってなんて面倒くさいんだろうと改めて思いながら。