繋いだ手をもう一度
ねぇ、もしかしてあの後ろ姿は陽登だったの?
偶然なの?
何でこっちにいるの?
色々な気持ちがぐるぐるとして息をするのが苦しくなる。
待って。待ってよ。
よく考えよう。
偶然何か私情でこっちに来たのはあるにしても、でももしかしたら同姓同名かも。
でもあの香り…………
「──ひっ、るひっ……春陽っ!!!」
必死に肩を揺さぶる色葉が私の名前を呼んでいた。
「ご、ごめんね。聞こえてなかった。」
「陽登くんの苗字って………」
「うん、………和田、だよ。………でもね、同姓同名かもしれないし、もし本人だとしても私から離れたんだしもう関係ないよ。向こうはもう忘れてるかも。だって向こうの友達から彼女できたみたいとか聞いたし。」
色葉には心配かけたくないよ。
ごめんね。
私は作り笑顔で誤魔化した。